熱きイタリアを現代に継承した新しいアルファ・ロメオSZは
ロードカーを装ったレーシングカーである。
名車SZシリーズの設計思想を現代に継承した新しいSZ。
ザガードのデザインによる、いかにも戦闘的なこのマシンは、まさにレーシングカーとしてのハートを持って誕生した。
シャーシに、駆動系に、洗練されたメカニズムを装備したコーナリングマシン。
足回りのベースはグループAのレーシングカー。
「イル・モストロ(イタリア語で怪物の意味)」。新しいSZは自社のスタッフからもそう呼ばれるほどのスーパーマシンである。
このマシンの足回りは、アルファ・ロメオ75(3リットルV6エンジンをフロントに搭載したリアドライブのグループAレーシングカー)を基本としている。したがって、通常のロードクリアランス(最低地上高)はかなり低い。また、フロントエンジンの場合、通常ではフロントヘビーになりやすいが、このマシンの前後重量配分は56対44と好ましいバランスを保っている。
その理由はトランスアクスルにある。トランスミッションをデファレンシャルケースと合体して後車輪軸側に配置し、重心をやや後方に移動している。加えて、後輪のバネ下荷重を減少させるために、ブレーキディスクとキャリバーをデフの両サイドに移動しているのである。
スタイリングは、フェラーリやランボルギーニのように優美ではないが、それが逆にこのマシンの強い個性となっている。
マニアックなドライバーを魅了するスーパー・ハンドリングマシン。
このマシンのもっとも魅力的な特徴はそのコーナリングにある。シャープで正確なレスポンスを維持し、まるでステアリングホイールとタイヤが直結しているかのように、ごくわずかの入力で反応する。
サスペンションは、フロントがダブル・ウィッシュボーン・コイル、リアには固定的ネガティブ・キャンパーを装備したドディオンを配置。このネガティブ・キャンパーはトーインとともに、スタビリティの向上と安定を狙ったものである。しかし、パワーステアリングゆえにステアリングが重くなることはない。
また、プッシュ類は、通常のラバーからユニボールと呼ばれるナイロンブッシュに換えられている。
この正確なステアリングは、剛性の高いシャーシと絶妙のバランスを保ち、コーナリングではドライバーの予想をはるかに越えたパワーを発揮する。
この手造りの限定生産車は、計画どおり1000台で打ち切られた。
specification |
Engine Type |
V6 DOHC |
Cubic capacity |
3,000cc |
Maximum horse power |
210hp / 6,200r.p.m. |
Maximum torque |
25kg-m / 4,500r.p.m. |
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