エレガント レーシング
レーシングカーが市販スポーツカーとして混在していた1960年代前半、アルファロメオの直列4気筒エンジンと高剛性鋼管フレームに、カロッツェリア・ザガードの流麗なアルミボディが与えられたマシンが誕生した。それがアルファロメオ・ジウリア
TZ である。
この「ジウリア」という名称は、それ以前まで('50年代)のジウリエッタが1300ccだったのに対し、1960年代からのジウリアでは1600ccにスケールアップする。そこで、ジウリエッタの姉の意味を持つジウリアというネーミングが用いられたという。
そして、TZ(チュボラーレ ザガート)は他のジウリアシリーズとエンジンブロック以外に共通するところがない純GTレーシングカー。空力的なコーダトロンカボディ、前輪ディスクブレーキ(リアはインボード)、4輪独立サスペンションなど、当時としては画期的な先進技術が盛り込まれた。
このジウリアTZ1の緩やかなボディライン、低いフロントノーズからはエレガントな雰囲気すら感じさせる。余談ではあるが、イタリアのクルマがこのようにスタイリッシュなのは、彼らは図面ではなく粘度を捏ねて形状を考えるからだ、という。つまり、平面ではなく、立体でフォルムを形成していくことから、実に個性的でスタイリッシュなクルマが生まれてくるのだろう。
性能面においても革新的なメカニズムが採用されており、レース優勝確率においてフェラーリを凌いだTZ。当時すべてにおいて主流を占め、驚嘆と賞賛のまなざしで見つめられたマシンである。
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