HONDA CR93 STREET

まぎれのない、リアルロードゴーイングレーサー CR93

1961年、マン島TTレースの125ccクラスで1位から5位までをホンダワークスレーサー、2RC143が独占した。1位にはマイク・ヘイルウッド、2位ルイジ・タベリ、3位トム・フィリス、4位ジム・レッドマン、5位島崎貞夫。当時の一流トップレーサーが名を連ねた。
そして同じ時、250ccクラスではRC162によって、1位マイク・ヘイルウッド、2位トム・フィリス、3位ジム・レッドマン、4位高橋国光、5位谷口尚己が名を連ねる。ホンダが世界選手権を手中にし、その名を世界にとどろかせた。

1962年、そのRCの技術を導入した市販レーシングマシンが誕生する。CR110(50cc)、CR93(125cc)、CR72(250cc)である。
CR93は、125ccワークスマシンのRC145同様に4バルブDOHC並列2気筒カムギヤトレーン駆動エンジンを搭載、最大出力は21.5ps/13,500rpmを誇る。タンクから続くシングルシート、足元を引き締めるマグネシウム製ドラムブレーキ、'60年代のホンダワークスマシンそのままのツインカムエンジン。すべてにおいて極限まで性能と軽量化を追求し、形作られた機能美あふれる造形である。

世界グランプリ125ccクラスで活躍するHonda 市販レーサーのルーツともいえるこのマシンは、当時の価格が30万円(大卒初任給:約15,000円)と破格だったのにもかかわらず、購入を希望する人が後を絶たなかったという。
'62年度マン島TTレースではワークスマシンに互して3位への入賞を果たしている。
ここに展示するCR93は保安部品を装備した公道仕様。現在ではマニアの間で垂涎の的となっている極めて稀少なモデルである。