長い歴史を持つクルマには、様々な謎がつきまとうものである。
このトヨタ2000GTも歴史の狭間に出生の秘密を隠した1台である。 まず、輸出仕様の左ハンドル車であること、そして大型オイルクーラーがついていることや外観からMF12L型であることがわかる。つまり後期型の輸出仕様車として試作されたものの実際には市販されなかったモデル、と推測される。
しかし不思議なのは、搭載されているエンジンはDOHCで、後期型の輸出仕様2300cc/SOHCエンジンではない。さらに、シャシーにはMF10-10010と刻まれている…これはシャシーも前期型であることを示している。そしてこのシャシーナンバーをトヨタ自動車に照会してみると、「特殊用途車」となっているのだ。
一説では、この2000GTは一時期試作されていた固定式ヘッドライトのプロトタイプである、といわれている。その根拠は、ボディを後期型に載せ替えている点。通常プロトタイプを市場に流すとしてもボディを交換したりはしない。ということは、このクルマは前期型シャシーに固定式ヘッドライトのボディ(細部はクレイで成型)を載せていたプロトタイプ車を何かの事情で手放すことになり、その当時生産されていた後期のボディが載せられた。というのだ。もちろん、今やそれを立証することなどできない。が、名車ゆえにつきまとう様々なヒストリーに思いを馳せてみるのもおもしろい。
specification |
Engine Type |
水冷直列6気筒DOHC |
Cubic capacity |
1,988cc |
Maximum horse power |
150hp / 6,600r.p.m. |
Maximum torque |
20.0kg-m / 6,000r.p.m. |
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