バリアフリーお遍路の旅

2003年10月3日〜10月7日
徳島・高知体感の旅

第1日目・・・10月3日 (金) レポーター 茶畑洋介

8時前にビスタに出社。店頭の鉢への水やり、洗車、そして朝礼の後、大原さんに高知駅まで送っていただき、我々4名(松岡洋子、津野宏美、白井俊介、茶畑洋介)の「ゆったりのんびり八十八ヶ所霊場巡りと徳島、高知体感の旅」が始まりました。
高速バスにて高知駅を10時に出発し、12時30分に徳島駅に到着。14時予定より遅れて15時前に全員が合流し、最初の18番札所「恩山寺」に巡礼しました。視覚障害をお持ちの方が10名で、車中での自己紹介をお聞きしていると、何回も参加されている方や初めての参加の方と様々な様です。しかし、皆さんはこの旅を一様に楽しみにされている様でした。
私の1日目のパートナーの方は東京からの初参加で、65歳の北川さんという方で、43歳で脳梗塞一夜にして全盲になられたとのこと。働き盛りの頃で、大変なショックだったと思います。今回のツアーはご本人が申し込んだのではなく。ご家族の方が申し込まれたとのことでしたが、ご自分の考えをしっかりもった方でした。障害者の方への介助は私は初体験でしたので、つい方に力が入ってしまって、「気楽に、力を抜いてください」と逆に気遣いをしていただきました。あまり手をかけ過ぎてもいけないし、必要最小限のことを知らせたり、手をお貸ししたりすれば、皆さんご自分でほとんどやられるのには驚きもし、気づきました。明日はパートナーの方も変わるようですが、私は障害者の方とは意識せずに、肩の力を抜いて自分も楽しみながら取り組んでいく方がいいかな、と思っています。
続いて、宿坊である19番札所の「立江寺」に参拝。および夜のお勤めをした後、食事、入浴等のお世話をし、11時30分に就寝しました。その間、我々4人でのその日の気づき、注意点、感想等を報告しあう簡単なミーティングをおこなったり、スタッフの福本さん、丹羽さん等とロビーで雑談するなかで、何かと気づきがあり、勉強になりました。

私の感じた今回の旅のキーワードは、「参加者の一人ひとりが楽しむこと!」です。全盲の方から80歳過ぎの方までと、幅広い方々が参加されています。今回のバリアフリーお遍路の旅」は、肩書きも年齢も関係なく、人と人との付き合いができる貴重な体験だと思います。なにごとも一期一会だと思います。明日以降、気楽に楽しく頑張ります。


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【 レポータープロファイル 】

茶畑洋介(ちゃばたようすけ)

「教頭等民間企業派遣生」としてトヨタビスタ高知で研修中の高知県立高知工業高等学校教頭先生。ビスタ高知での研修期間は2003年10月1日から2004年3月末まで。
ビスタ高知の考える「人」と「人」とのつながりを体感していただく目的で今回の「お遍路の旅」に参加していただくこととなった。
<<< 茶畑洋介の研修後記!>>>

 10月3日、我々4名(松岡洋子・津野宏美・白井俊介・茶畑洋介)による4泊5日の《ゆったりのんびり八十八ケ所霊場巡りと徳島・高知体験の旅》がスタートしました。
 高知駅から高速バスで徳島駅に向かい東京・名古屋・大阪方面からの参加者と合流しました。その後、貸し切りバスにて「発信の道場」である徳島県の18番札所「恩山寺」を皮切りとして、「修業の道場」高知県の33番札所「雪渓寺」までの17ケ寺(1ケ寺は番外札所)の巡礼参拝をしました。
視覚障害の方の参加は10名で、車中での自己紹介をお聞きしていますと何回も参加されている方や初めての方と様々でしたが、皆さんは一様にこのツアーへの参加を楽しみにされているようでした。
 私は障害者の方の介助は初体験でしたので、つい肩に力が入り過ぎてしまってパートナーの方に「気楽に力を抜いて下さい・・・!」と逆に気遣いをして戴きました。皆さん方は、荷物の整理における手際良さ・段取りの良さや余裕を持った行動、そして簡単な説明で食膳の配置がすぐに理解できる点などを拝見して優れた感性と、五感(視・聴・嗅・味・触)の一つが欠けると残りの感覚が研ぎ澄まされるという事を実感させられました。視覚障害の皆さんは、余り手をかけ過ぎずに必要最小限の事を知らせるだけで殆どの事をご自分でやられるのには驚きもし、できる事は自分でする姿勢には頭が下がる思いでした。
 今回の「バリアフリーお遍路の旅」は、肩書きも年齢も関係なく人と人との付き合いができる"一期一会"の貴重な体験でした。障害者に対するボランティアのポイントは、『障害の方とは意識せずに気を張らずに肩の力を抜いて一緒に楽しむ事が継続する秘訣である。』事を視覚障害者の方々から教わりました。
 4泊5日にわたって片時も離れずに行動を伴にしますと、惜別し難い思いでした。私を含めて参加された皆さんは、来た時と帰る時では表情が全く違っていました。その充実感に満ちた笑顔に感動しながら、次回の再会を楽しみにして高知空港で「行ってらっしゃい・・・!」の気持ちでお見送りしました。出発前には不安が多かった今回のお遍路旅も瞬く間に過ぎ、思い出一杯の楽しい旅となりました。全般的には、なる程ゆったりのんびりした旅であり、楽しくリフレッシュしながら貴重な体験をさせて戴きました。
 今回の「バリアフリーお遍路の旅」において、視覚障害の方が「今、何をして欲しいのか・・・?」を先読みして正確に口頭で伝える大事さは頭では理解できても実行は難しく、「言うは易く、行うは難し」でした。トヨタビスタさんが新人教育研修としてこのツアーに参加させるのは、「顧客(相手)の要望を如何に先取りしてお客様を喜ばせるか・・・!?」を体験修得させる事が目的であろうかと思いました。
 ところで、『障害ってなんだろう〜?』辞書では「障害は、妨げとなるもの。体の故障」と書かれていますが、「"障害者は可哀想"とか、"障害は自分には関係ない"と思う気持ちが障害をつくりだす」即ち、「人間の持つ"見て見ぬ振りをする心"、"自分には関係ないという身勝手さ"」が障害を作り出す。つまり、『障害は人の心が起こす・・・!』という事です。施設のバリアフリーは普及してきているが、一人一人が克服すべき今後の課題は『心のバリアフリー』だと思います。
 今回のお遍路旅は、色々な気付きと楽しい思い出一杯の貴重な体験となりました。末筆となりますが、この様な機会を与えて下さった「トヨタビスタ高知さん」に感謝致しながら筆をおきます。