バリアフリーお遍路の旅

2003年10月3日〜10月7日
徳島・高知体感の旅

第2日目・・・10月4日 (土) レポーター 津野宏美

今日は、加藤さんという弱視の男性のパートナーでした。見た目は60代なのに、実際のお年は73歳だと聞いてびっくりしました。若い頃登山をされていたらしく、足腰もしっかりされていて、スロープという選択肢があったのに33段の長階段をあえて昇られていました。
加藤さんは、「上り階段はだいたいわかるから大丈夫だけど、下り階段はどのぐらいの段差かよくわからなくて怖い」とおっしゃっていました。そのため、加藤さんには下りの階段に気をつけていれば、後は少し手をお貸しするだけで大丈夫でした。今日は「加藤さんが今助けを必要とされているかどうか」を気にして巡礼しました。助けの必要ないときに手を貸しても邪魔なだけで、ありがた迷惑だと思います。人によってサポートの仕方が変わってくるので、新しい発見が本当にたくさんあります。やはり、その方の様子をしっかり見て、何を必要としているかに気づくことが大切だと思いました。
今日はひとつ失敗がありました。日和佐の海に寄った時、遠浅の砂浜に降りて行ったのですが、加藤さんと波に触っていたら急に波がきて私たちの足がつかってしまいました。近くは木下さん、木村さんもいて、お二人の靴もびしょぬれでした。私の注意不足から生じたハプニングではありましたが、これも思いでになれば、と願います。

宿坊の部屋は黒田さん、木下さん、木村さんと私の4人でした。木村さんも盲導犬の大助くんを連れていたので、盲導犬が2匹いました。驚かされたのは、2匹とも私たち人間が食事をしている側にいても、おねだりしたり鳴いたりすることもなくじっと伏せて食事が終わるのを待っていたことです。やはりご主人様の命を預かる大切な役目を担うために相当な訓練を受けたのだということを痛感しました。主人と盲導犬との間には絶対的な信頼が必要であり、だからこそその強い絆があるのだと思います。

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【 レポータープロファイル 】

津野宏美 (つのひろみ)

2003年3月に高知大学を卒業してトヨタビスタ高知に入社。現在はショールームアシスタントとしてご来店いただいたお客様に笑顔のサービスをさせていただいている。愛嬌を振りまくのにとどまらず、お客様にコーヒーを撒いてしまったりと、とても洒落にならない失敗をしでかしながらも、なんとか一人前となるべく奮闘中である。

<<< 津野宏美の研修後記!>>>

 4泊5日の八十八ヶ所巡礼の旅は、とても楽しい思い出となりました。時間はあっという間に過ぎ去り、別れの時は淋しさでいっぱいでした。障害者の方とこんなに長い時間深くお付き合いさせて頂いたことは無かったので、本当にいろいろと勉強になり、感じるところも沢山ありました。
 実際一緒に過ごしてみて初めてわかったのですが、障害者とはいっても皆さんしっかりされていて全く普通の人とかわりませんでした。出発前は私にちゃんとサポートできるのかなという一抹の不安もありましたが、その「サポートしなければならない」という意識そのものが不要でした。確かに手助けは必要ですが、それは「そうしてあげる」というより自然な極当たり前の行為としてそこにあります。盲目であることはその方の障害なんかではなく特徴の一つ、あるいは個性であると感じました。サポートはあくまで対等な立場でそういう個性の持ち主と一緒に過ごす時の自然な付き合い方の一部だと思います。ある人とある人がどのようにお付き合いするかはそれぞれの個性のぶつかり合い、もしくは調和であり、サポートの程度・方法もそれぞれで違います。私のサポートは全く未熟で皆さんに不自由な思いをさせることもあったかと思います。申し訳無いことに、むしろ私のほうが皆さんに違った意味でサポートしていただき、楽しい時間を過ごすことができました。
 今回の旅では徳島と高知のお寺を回りました。高知のお寺は家族でよく訪れていましたが、行楽なのでお参りを純粋に目的にしてはいませんでした。今回は参加者の皆さんが程度の差はあれ、お大師様を参拝することによって自らを浄化したいという思いを抱いていらっしゃったので私も神妙な気持ちで巡礼できました。皆でお経をあげる時の一体感はとても心地よいものでした。そしてお大師様の前では誰もが完全に等しい存在でした。
 皆さんそれぞれ事情があり、様々な思いを抱いて巡礼に参加されていました。そしてそのことを隠すわけでもなく旅の仲間にお話してくれました。各々が深い悲しみを背負いながらもあんなに明るく生きていらっしゃることに感動をおぼえました。障害の有無などお付き合いする上で私にはたいした意味を持たず、みなさんは人生の先輩として尊敬できる方に他なりませんでした。今回の研修では様々なことを勉強させていただき、またいろんな意味で本当に楽しかったです。来年春の再会を約束して皆さんとお別れしました。心よりその時を楽しみにしております。