バリアフリーお遍路の旅

2004年5月21日〜5月25日
高知・愛媛体感の旅

第1日目・・・5月21日 (金) レポーター 西川幸志

今日からお遍路研修が始まりました。午後に会社を出発し、最初の目的地でもある34番札所の種間寺へ直接行くことになっており、同期の新人2人に車で送ってもらいました。
種間寺で少し待っていると、今回の参加者を乗せたバスが到着し、さっそくバスの中でVISTAから研修に参加する5名の自己紹介がおこなわれました。
参加者の皆さんにあたたかい拍手で迎えていただけたので、緊張して身体に力が入っていたのですが、自然に会話できるようになりました。

私の最初のパートナーは近藤さんといって、5〜6年前に目が不自由になったそうです。近藤さんは、いろいろと教えることができませんが、とはじめに仰られたのですが、私自身も初めての研修ですと伝えると、「ふたりで協力して頑張りましょう!」と言っていただけました。その言葉が本当に嬉しくて、二人で歩いている最中やバスの中などでも話をずっとしていました。地元の名産品についてや仕事についてなど、お互いに情報交換をしながら移動の時間を過ごしました。
実際に介助をしてみると、いろいろと細かい危険なことに目が行き過ぎて、気を遣いすぎていたように思います。事前に気の遣いすぎも遣わなさ過ぎもだめだ、と聞いたときになかなか難しいな、と感じたのですが、実際にやってみると、本当に難しいものだな、と実感することができました。

35番札所の「清滝寺」では、八十八ヶ所中最大といわれる、全長が15メートルもある薬師如来像があり、その足元には、八十八段の厄除け戒壇というのがあって、実際に入ってみたのですが、中は暗くて狭くて天井が低くて階段が急という、なんとも大変なところでした。中の暗さは、すぐ目の前がまったく見えない状態で、パートナーの近藤さんよりも私のほうが軽いパニックに陥ってしまいました。
いろいろと近藤さんにもご迷惑をおかけしたと思うのですが、近藤さんとお風呂に一緒に入ったときに、明日はパートナーが変わってしまいますね、と話しかけると、「明日も西川さんが良いのにな」と言ってくれ、そのときは本当に胸が一杯になりました。上手に介助ができていなくても、頑張っているところは感じ取ってくれたんだと思います。
明日もパートナーの方にお遍路の旅を愉しんでいただけるように話をしたり、介助をしていけるように頑張っていこうと思いました


<<< 2日目のレポート >>> 


【 レポータープロファイル 】

西川幸志 (にしがわこうじ)

2004年4月入社のネッツ南国サービスエンジニア新入社員。
エンジニアというと、なんとな〜く職人気質で恐そう、なんていうイメージをもたれていることも多いが、実際はさにあらず!レポートにもあるような感動屋さんが多いのである。ヒゲが濃いことを本人はとっても気にしているが、ちょっとニコラス・ケイジにも似ているな、と思っているのは私だけではないであろう。やがてダンディになっていくことを期待しつつ、おでこはニコラスに似なければいいのにネ、と気遣ってもいる。
<<< 西川幸志 の研修後記!>>>

研修へ行く前は、単純にお遍路巡りでお寺を見て周ることを楽しみにしていたり、障害をもたれた方々とどういう風に接していけばよいのかという不安を持っていました。ですが、実際に研修に行ってみると、最初の自己紹介のときから皆さん大歓迎をしてくれて、一人目のパートナーの方もとてもよい方で、変に緊張していた身体も心もほぐされ、相手の方が障害者だからとか、高齢者だからというような考えは頭の中から飛んでいってしまいました。
でも、やはりはじめのうちはお互いに気を遣い過ぎていたように感じます。少し話の間が空くと「何か話さなきゃ」「話題を探さなきゃ」と無理に話のネタを探しては話しかけ、その結果内容がなく、すぐに話が終わってしまうというようなことを繰り返していただけでした。本当の意味で話ができるようになったな、と感じたのは2番目のお寺に着いたときでした。お寺を見てただ感想をぼそっと言っただけなのですが、パートナーの近藤さんがその話について話しかけてくださり、自然に会話することができました。
近藤さんとは宿泊先の部屋も同じで、お風呂や食事などにしても常に一緒に行動するため、どんどん仲がよくなっていくし、ひと部屋に私たち以外にも何人かいたりして、その方たちとも話をするので、泊まれば泊まるほど多くの参加者の方々といろいろな話ができ、本当に貴重な経験ができました。お遍路の旅のなかで一番印象に残っているのは、参加者の方々に私の誕生日を祝っていただき、一人ひとりからお祝いの言葉をいただいたことでした。おかげで、最高の誕生日を旅先で迎えることができました。
全国の方々や年配の方々と触れ合う機会というのは、作ろうと思ってもなかなか作れるものじゃないし、初めてお遍路さんとなり、四国八十八ヶ所霊場巡りに参加したことで、今まで自分の中で持っていたイメージや思いというものが大きく変化したことは間違いありません。この研修に、また、参加者の皆様にたいへん感謝しています。本当に楽しい旅でした。