ALFA ROMEO Giulia TZ2

至上のレーシング・スポーツといわれるTZ2は
アルファ・ロメオ最後のロード・ゴーイング・レーサー。

1960年代前半、レーシング・カーにロードゴーイング(いわゆる街乗り)の 機能がまだ大きくオーバーラップしていた時代に誕生した、アルファ・ロメオTZ。 鋼管スペース・フレーム、直列4気筒DOHC、ザガートのボディ。 その中にレーシング・スポーツの頂点を目指し、極限までチューンされたマシンがあった。 それが究極のロード・ゴーイング・レーサー、アルファロメオ TZ2である。 現在、日本には四国自動車博物館の1台しかない。

TZ1を徹底的にチューンアップ。

1950年代後半から1960年代前半にかけて、アルファロメオはカロッツェリア・ザガートとの共作によるレーシング・スポーツカーを生産。その代表的なモデルは、まずSZ(スプリント・ザガート)。そして、1962年のトリノ・ショーで発表されたTZ(チュボラーレ・ザガート)へと継承される。
TZは100台以上生産されたが、その中には、究極的で発展型のスーパーモデルが12台あった。それがTZ2と呼ばれるマシンである。
基本的なシャーシ構造はTZ1とほとんど共通であるが、アルミ・ボディはFRP製に変わり、ボディの贅肉は極限にまで削減。その結果、ドライ・ウェイトは620kgにまで減り、40kg減の軽量化に成功した。車高も1,060mmと、140mm低い。これは15インチのタイヤを13インチに変更した成果でもある。
また、エンジン搭載位置を下げるため、ドライ・サンプ潤滑システムを採用。ビッグ・バルブ、ハイコンプ・ピストン、ツイン・スパークプラグによるパワーユニットで、165馬力まで絞り出した。


アルファロメオ最高のモデル。

TZ2が初めて一般公開されたのは1965年4月のル・マン・テストデイ。四国自動車博物館の展示車もこの会場に登場した1台。「アウトデルタ」のチームカーとしてナンバー42のゼッケンをつけていた。その後レース経験を積み、タルガ・フローリオにも参戦。展示車は総合4位とクラス優勝に輝いた。
先述のとおり、TZ2と呼ばれるマシンは12台である。そのうちの2台はショーカーであり、フォルムは他のTZ2とまったく異なる。また、TZ1との中間スタイル風のTZ2が4台ほどあり、四国自動車博物館の展示車と同型のTZ2は世界中で5,6台ほどであろう。もちろん、日本には現在、四国自動車博物館の1台しかない。
TZ2は、しばしば世界中でもっとも人気のある1960年代のレーシング・スポーツ、フェラーリ250GTOと対比して語られる。というのも、両車は同時代のサーキットで活躍したマシンであり、一般公道を走れるマシンであったからである。カタチがともに似ているが、より個性的なボディ・デザインと進歩的なシャーシを持つためにTZ2を好む人も多い。