きょうの VISTA

2003年5月30日(金曜日) 台風接近中

バリアフリー研修レポート その2

レポート3日目(5月25日 日曜日)

レポーター:佐藤美帆スタッフ
 今日のパートナーは、数年前から全盲になった黒田さん。盲導犬シャールを連れ、2巡目のお遍路です。今回はシャールのためにいらっしゃったそうで、以前にビスタからお遍路に参加した小松スタッフや渡邊スタッフの名前も会話の中に出てきました。盲導犬にこんなに近寄ったのは初めてだったのでドキドキしました。前日の方の先導と勝手が異なり、犬のペースとの調整に苦労しました。盲導犬は人に合わせて歩くので、普通の犬が歩くスピードより速いんだそうです。

夜は木村さんとパートナーになりました。この方も大助という盲導犬を連れています。黒田さんとはまたタイプの違う方で、よくお話をされる方でした。木村さんはお話に夢中になり、私も聞くのに必死で失敗をしていしまいました。それは、1段高いところに上る合図をし忘れ、木村さんをこけさせてしまったのです。木村さんは「大丈夫、大丈夫」と言ってくださいましたが、私の不注意で怪我をさせてしまったことを深くお詫びしました。パートナーがいるということで、木村さんもいつもよりは安心して歩いておられたと思います。相手のペースに気を抜かないよう、気を抜かないよう安全確保と気配りをしていくことを心がけます。

 木村さんは全盲なのですが、かなりの行動派。乗馬、パラグライダー、旅行・・・さまざまなことに挑戦されており、お遍路巡りの時も先頭を切って歩かれます。気質もあると思いますが、なぜ先々行動をされるのかふと考えました。全盲の方々は全般に言動がせっかち(←表現がよくないかもしれません)なように感じたからです。どうしても少し時間がかかってしまうので、次の人に迷惑をかけまいとあせる気持ちがあるのかもしれません。「大丈夫ですよ、あなたのペースでいきましょう」と声をかけるとほっとした表情をされます。たった一言のお声がけで随分気分が違うのだろうな、と思いました。

レポート4日目(5月26日月曜日)

レポーター:掛水ひとみスタッフ
 今朝は、黒田さんとともにホテルのモーニングからスタートしました。互いに洋食が好みなので、バイキング形式の洋食を選びました。しかし、黒田さんがおっしゃるのに、視覚障害の方にとってバイキングはあまり好ましくないスタイルであり、苦手だということでした。目で見て料理を選ぶものなので非常にやっかいなものだと感じました。

今日の行程ではタンデム自転車体験があったのですが、今回は雨のため延期になり、近くの阿波踊り会館でお土産などを購入することとなりました。今日のパートナーは加藤さんという弱視の男性でした。ちょうど私のおじいちゃんという感じで、とても話しやすい方でした。加藤さんご自身のTシャツ選びをしたのですが、変わったデザインを口頭で説明するのにはとても苦戦しました。加藤さんに気に入ってもらえるか心配でしたが、1つセレクトしてお買い上げしました。二人での買い物でしたので、とても心に残ると思います。また、昨夜の宴会後に阿波踊り会館で阿波踊り体験をしたのですが、加藤さんはどうしても踊りを覚えたいという思いがあったので、阿波踊りをしている模型(実物大)を手で触り、体感していただきました。指の一本一本まで丁寧に触れて、細かく説明させていただきました。

今日はあいにくの雨だったので、レインコートを着用して参拝しました。5日間のうち、ずっと天気は好調でしたが、今日ばかりは雨足の強い1日になってしまいました。こういう天候の日に限って足場の悪いお寺が多く、とても神経を使いましたが、加藤さんのペースをつかめてきていたので、なにごともなく巡拝することができました。加藤さんはお経を唱えたあと、家内安全、交通安全などの祈願を口頭で唱えているのですが、あるお寺で祈願のあとに「掛水さんにいいおムコさんができますように・・・」と小声で祈願してくださり、驚きもありましたがとても嬉しくて、感謝の気持ちでいっぱいになりました。加藤さんに限らず、パートナーになっていただいた方々は、とても私をかわいがってくれて、そのお気持ちに感謝感激でした。同時に、過去の話や家族の話など、たくさん話して頂いて、本当の家族のような気持ちになりました。さすが人生の先輩。教えられることはそれぞれにありました。

夜は大日寺の宿坊に宿泊しました。今日は6人部屋という大人数で同じ部屋になりました。ここでもいろいろな方とお話しすることができました。いよいよ明日が最終日です。

レポート5日目最終日(5月27日火曜日)

レポーター:橋田貴行スタッフ
今日は最終日。歩き遍路も1番長い距離で、4.7キロの山道を歩きました。パートナーは五十君さんという女性の方で、81歳なのにボクよりも元気に歩かれていました。自分のおばあちゃんのような人で、一緒に歩いていてこっちが嬉しくなりました。高齢というだけで足腰はすごく元気だし、体力もおばあちゃんとは思えないぐらいありました。ボクは体調を崩してしまい、元気がないことを心配してくれたりしました。情けなかったです。とても20代とは思えないぐらいダウンしてしまいました。いろんな面でプレッシャーがかかったり、気疲れしたんじゃないといわれましたが、本当に参加できてよかったです。今までなら視覚障害の方を見かけても、大丈夫かな?と思う程度で、それだけで助けようとはしなかったと思います、これからは、こっちから積極的に声をかけてあげようと思います。とくに、駅で見かけた場合に助けて欲しい、という話を聞きました。いくら盲導犬を連れていても助けて欲しい、と言っていました。

本当に視覚障害の方たちと一緒にお遍路さんができて、よい想い出にもなったし、気持ちも変わったと思います。たった5日間だけでしたが、28人と同じ生活ができたことに感謝しています。忘れられないいい思い出です。(文章でこの感動を伝え切れなくてすみません)

end.

<<< 前の日