TOP >> ネッツ南国について

はじめに

  •  自動車業界は戦後の日本経済でもっとも急激に発展した業界のひとつです。国内自動車販売会社(以下ディーラー)は、日本の経済が復興・発展する高度成長の波に乗って、営業マンを大量に採用し、活発に営業所展開をおこないました。 急激なスピードで各家庭の経済も潤い、かつては経済的成功の証であった「クルマ」という商品が、生活必需品としてあたりまえのように「売れる」時代へとシフトしたのです。このような拡大市場の中で「がんばれば売れる」というシンプルな構造で動機付けされた自動車の販売合戦は、自動車メーカーの「代理戦争」とまでいわれました。
     その頃の各自動車メーカーは、市場のニーズに合わせ、多種多様なデザイン・機能をもつ新型車を発表し始めました。トヨタ自動車においては、それまで「トヨタ店」と呼ばれる販売チャネルですべてのトヨタ車を取り扱っていましたが、車種構成が複雑になるのに従い、トヨペット店(1956年)、トヨタパブリカ店(1961年・現在のカローラ店)、 トヨタオート店(1967年・現在のネッツトヨタ店)を展開し、それぞれが販売できる車種を限定しながら、トヨタ全体のシェアアップを実現していきました。このようにして、現在のトヨタ販売網が構築されたのです。

ネッツ南国誕生

     そして1980年、全国で66社のトヨタビスタ店が一斉に誕生しました。高知県においては西山グループが販売権を取得し、トヨタビスタ高知(現在のネッツトヨタ南国)が誕生しました。その後メーカーであるトヨタ自動車の意向により、2004年に全国のビスタ店はネッツ店へとブランド変更することとなり、当社も社名変更をして現在に至っています。
     創立当時、西山グループはトヨタ・トヨペット・トヨタカローラ・トヨタオートのすべての販売権を持っており、同一資本がすべてのチャンネルを取り扱うということは全国でも特異なケースでした。そしてその大きなメリットとして、私たちはスタートの時点で高知県の市場特性やディーラーのマーケティング手法を熟知することができたのです。
     市場拡大が終了し、飽和状態となりつつある市場に、従来型ディーラーと同じ販売手法で参入することは、新参で認知度の低いビスタ店にとって好ましいとは考えられませんでした。さらに、同じ資本系列のトヨタディーラーとも競合していくことにもなります。そしてなによりも、それまでの自動車販売会社が繰り広げてきた経営戦略は即効性がある反面、長期的には 大きなリスクを内在していると判断しました。
     「従業員が仕事に満足していなければ、その企業に存在価値はない」・・・これは当社のポリシーです。厳しい業界といわれ、働く社員にさえ「自分の子供にはさせたくない」といわれる世界「売る者が勝ち残る」だけの構図で完成された組織は、過去に数多く存在し、消えていきました。「企業は人なり」という言葉のとおり、人財が企業をささえます。その人財が満足して働くことのできる組織づくりこそが、西山グループでもっとも新しい企業、ビスタ高知としての重要課題であったのです。 そして、過去の成功体験をすべてリセットし、私たちのあるべき姿を模索したのです。

お客様満足の追求の理念

    さて、時代は1990年代を迎えます。天井知らずとも言われた好景気が破綻し、日本経済はバブル崩壊に向かい始めます。この時代に入って、ビスタ高知は独自のマーケティングをいっそう強力に推進していくこととなりました。従来と変わりないマーケティングを展開する他ディーラーとの経営の差別化を徹底するチャンスの時代であるという認識です。 ビスタ高知のマーケティングスタイル=戦略はリテンションマーケティングと明確に位置付けられました。そして、既存のお客様を中心に、ビスタ高知に関わるすべての人が高い満足感を感じていただけるよう、次の理念を掲げました。

    お客様満足追求の理念

    なぜ、当社がそうした「お客様満足追求」という理念を徹底追求してきたのか、を説明するもうひとつの理由があります。それは「従業員満足を追求」するという、さらに大きな目的のためです。あてのない訪問営業活動や電話セールスなど、ロスの多い仕事を「やらされる」ことにスタッフは継続して能力発揮できるでしょうか?自ら考え、発言し、行動し、そして反省するサイクルの中で人は成長を遂げていくものですし、そこから得られるチームワーク、お客様の賞賛、自らの成長はなにものにも替え難い価値があります。みなさんの就職活動では、ともすると休みの数や組織規模などの目に見えやすい数値化された指標ばかりが飛び込んでくるものです。しかし、実際に「働く」ということには、そうした「量」では計りきれない、働き方の「質」が大切になるのです。私たちは、ここで働く従業員の全員が、現在進行形で取り組む仕事にかけがえのない価値を見出せるよう、組織一丸となってお客様の心に訴求する活動に取り組んでいるのです。
     お客様満足向上⇒従業員満足向上⇒新たなやりがい・チャレンジ⇒お客様満足向上・・・という、終わることのないスパイラルを描きながら成長していくことが、私たちが一貫して取り組んできた差別化戦略です。

本物化戦略

    従来の営業という仕事は、商品力と価格という大きな2つの要素で成立していました。大量のコマーシャルや訪問営業活動などを通じて商品力を訴求し、価格交渉で契約をいただく、という方法です。しかし、「商品力」は、基本的には商品開発をおこなうメーカーが生み出す力です。また、圧倒的な価格競争力を確保するためには犠牲とせざるを得ないサービスが生じることになります。 ここで、「企業の価値」についてあらためて考えてみたいと思います。世の中で永続することのできる企業 = お客様からその存在価値が認められる企業には大きく分けて3つのタイプがあると言われています。

    製品の優位性
    業務の卓越性
    密接な顧客関係の卓越性

     これら3つのどれもが重要であることは明確であり、世界中の企業が何らかの取り組みで顧客価値を生み出そうと努力しています。しかし、すべての企業がそれに成功しているわけではありません。長期間にわたって成長を続け、同業他社からの尊敬を集めている企業をつぶさに研究した結果、それらの企業は共通して上記の3つのなかの特定のひとつの領域で圧倒的な競争力をもっていることが(残り2つも業界平均は維持)近年になってわかってきました。つまり、戦略を持たず、やみくもにいろいろなことを追い求めても決してうまくいかない、ということがはっきりしてきたのです。

     言うまでもなく、私たち(トヨタビスタ高知改めネッツ南国)は "3. 密接な顧客関係の卓越性" すなわち、お客様満足を一貫して追求してきた会社です。購入見込みの新規顧客を訪問活動で発掘するという作業的業務ではなく、ご来店いただけたお客様に 「感動をお届けする」仕事へのチャレンジです。人財のひとりひとりが生み出すお客様の満足感へ徹底的にフォーカスをあてることで、同業他社の追随を許すことのない、お客様との真の関係構築を実現してまいりました。
    今年で会社誕生から34年。発足当初からチャレンジの連続で、試行錯誤しながら独自の道を 歩いてきましたが、お客様満足度や販売店効率、収益性など様々な経営指標において、全国のトヨタ系列販売会社の中でもトップクラスを達成するレベルとなることができました。 そして、2002年11月、国内でもっとも厳正かつ先進的な審査基準を持つ「日本経営品質賞」を自動車業界、また、地方企業として全国で初めて受賞するに至りました。

ネッツ南国のこれから

     さて、これまで説明してきたものはネッツ南国のこれまでのお話です。しかし、学生の皆さんにとって一番注目すべきは企業のこれからではないでしょうか。
     創立から34年、私たちは常に様々な取り組みを行うことで業界の先駆者としての役割を担ってきました。しかしその取り組みが全国に広まり業界全体が底上げされたことで、私たちはさらなるチャレンジが必要であると感じています。これからもお客様から選び続けていただける企業を創るために、他との差別化を図り続けるチャレンジです。そして、想いを共有できる人財が集まればそのチャレンジは必ず成功すると信じています。なぜなら新入社員であろうとベテランであろうと、自分自身で考え、発言したことが実際に会社を変えていく。そんな風土がこれまでの会社を作り上げてきたように、これからも社員一人ひとりの力が新しいネッツ南国を切り拓いていくことでしょう。